【ゼロから理解するコンピュータ 第1回】スマホはなぜ「考える」ことができるのか?電気だけで判断する驚異の仕組み

スマホに「今日の天気は?」と聞くと答えてくれる。ナビアプリは最適なルートを「考えて」提案してくれる。でも、スマホの中身って結局は電気と金属の塊ですよね?

なぜ電気の塊が「考える」ことができるのか?

この疑問こそが、プログラミングの世界への入り口です。今日は、電気だけで「判断」や「計算」を行う、コンピュータの驚くべき仕組みを解明していきましょう!

 

📌 忙しい人はここだけ読めばOK!

コンピュータが「考える」仕組み:

  1. 電気のON/OFFで「はい・いいえ」を表現 → 0と1だけで複雑な判断が可能
  2. 超高速な質問の連続 → 1秒間に数十億回の「はい・いいえ」質問で思考を模倣
  3. 無数の電気スイッチの組み合わせ → スマホには約30億個のスイッチが内蔵

驚きの事実: あなたが画面をタップした瞬間、30億個のスイッチが協調して動作している


電気が「思考」に変わる具体的な仕組みを知りたい方は、以下をお読みください。

 

まずは衝撃の事実から:あなたのスマホの正体

 

スマホの中に隠された驚異の数字

あなたが何気なく使っているスマートフォン。その小さな筐体の中には、約30億個の電気スイッチが詰め込まれています。

30億個って、どれくらいの数?

  • 日本の人口の約25倍
  • 東京ドーム600個分の米粒の数
  • 1秒に1個数えても、95年かかる数

そして、さらに驚くべきことに:

これらのスイッチは、1秒間に数十億回もON/OFFを切り替えています。

つまり、あなたがスマホを触っている間、内部では文字通り「数十億個のスイッチが数十億回点滅している」という、想像を絶する活動が起きているのです!

 

でも、なぜスイッチで「考える」ことができるのか?

電気のスイッチがいくらたくさんあっても、それで「思考」ができるなんて、不思議ですよね?

実は、人間の「考える」という行為も、細かく分解すると「はい・いいえ」の判断の連続なのです。

例:今日の服装を決める思考プロセス

  1. 「今日は寒いか?」→ はい/いいえ
  2. 「寒いなら、厚手の服か?」→ はい/いいえ
  3. 「厚手の服なら、セーターか?」→ はい/いいえ
  4. 「セーターなら、どの色か?」→ 黒/白/グレー(複数の選択肢も、結局は「はい・いいえ」の組み合わせ)

コンピュータは、この「はい・いいえ」の判断を、人間では考えられない速度で実行することで、まるで「考えている」ように見える結果を出しているのです!

 

電気で「はい・いいえ」を表現する天才的な発明

 

電気版モールス信号の進化

コンピュータの根本的なアイデアは、実はモールス信号にあります。

モールス信号の仕組み:

  • 短い信号「・」= 電気ON(短時間)
  • 長い信号「ー」= 電気ON(長時間)
  • 無信号 = 電気OFF

この組み合わせで、すべてのアルファベットを表現できました。

コンピュータは、これをさらにシンプルにしました:

  • 「1」= 電気ON
  • 「0」= 電気OFF

たった2つの状態だけで、あらゆる情報を表現する方法を発明したのです!

 

「0と1」で世界のすべてを表現する魔法

「0と1だけで、どうやって複雑な情報を表現するのか?」と疑問に思いますよね。

数字の表現例:

  • 0 = 0
  • 1 = 1
  • 2 = 10(「1が1個、0が0個」の意味)
  • 3 = 11(「1が1個、1が1個」の意味)
  • 4 = 100
  • 5 = 101

文字の表現例:

  • A = 01000001(8個の0と1の組み合わせ)
  • B = 01000010
  • あ = 11100011 10000010 10000001(日本語はもっと複雑)

色の表現例:

  • 赤 = 11111111 00000000 00000000
  • 緑 = 00000000 11111111 00000000
  • 青 = 00000000 00000000 11111111

つまり、0と1の組み合わせパターンを決めるだけで、数字、文字、色、音、動画、すべてを表現できるのです!

 

スマホが「考える」瞬間を覗いてみよう

 

あなたがタップした0.001秒後に起きていること

スマホの画面をタップした時、内部では以下のような「思考プロセス」が超高速で実行されています:

第1段階:タッチ検知(0.001秒以内)

  1. 「画面に触れられたか?」→ はい(電気信号ON)
  2. 「どの位置か?」→ X座標とY座標を0と1で計算
  3. 「どのくらいの圧力か?」→ 圧力の強さを0と1で計算

第2段階:アプリ判定(0.01秒以内)

  1. 「その位置にアプリアイコンがあるか?」→ はい/いいえ
  2. 「どのアプリか?」→ アプリIDを0と1で特定
  3. 「そのアプリは起動可能か?」→ はい/いいえ

第3段階:実行決定(0.1秒以内)

  1. 「アプリを起動するか?」→ はい
  2. 「必要なメモリはあるか?」→ はい/いいえ
  3. 「画面を切り替えるか?」→ はい

この間、数千万回の「はい・いいえ」判定が実行されています!

 

音声認識の驚異的な処理

「OK Google、明日の天気は?」と話しかけた時の処理は、さらに複雑です:

音声→文字変換の思考プロセス:

  1. 「音声が入力されたか?」→ はい
  2. 「雑音か人間の声か?」→ 人間の声
  3. 「日本語か英語か?」→ 数千の特徴から判定
  4. 「『OK』と言ったか?」→ 音の波形パターンを0と1で分析
  5. 「『Google』と言ったか?」→ さらに詳細な波形分析
  6. 「『明日』と言ったか?」→ 膨大な音声データベースと照合
  7. 「『天気』と言ったか?」→ 同様の処理
  8. 「質問の意図は何か?」→ 文脈から推測

これらすべてが、1秒以内に完了しています。まさに超人的な「思考速度」ですね!

 

なぜこんなに高速に「考える」ことができるのか?

 

人間の脳 vs コンピュータの脳

人間の思考:

  • 1つのことを順番に考える(シングルタスク)
  • 1秒間に数回程度の判断
  • 疲れると判断が鈍る
  • でも、創造性や直感が得意

コンピュータの思考:

  • 数十億個のスイッチが同時に動作(マルチタスク)
  • 1秒間に数十億回の判断
  • 24時間疲れずに同じ精度
  • でも、決められた手順しかできない

つまり、コンピュータは「考える」というより、「超高速で決められた手順を実行している」のです。

 

では、その「決められた手順」は誰が決めるのか?

ここで登場するのがプログラミングです!

プログラミングとは:

  • コンピュータに「どんな判断をして、どんな行動をするか」の手順を教える技術
  • 「もしAなら、Bをする。もしCなら、Dをする」という条件分岐を組み合わせる作業
  • 人間の「考え方」を、コンピュータが理解できる「手順書」に翻訳する作業

つまり、プログラマーは「コンピュータの思考回路を設計する人」なのです!

 

身近な「電気の思考」を発見してみよう

 

家の中の「考える電化製品」探し

今度家電を使うとき、「この機械は今、何を考えているんだろう?」と想像してみてください:

炊飯器の思考:

  • 「お米の重さは適切か?」→ はい/いいえ
  • 「水の量は適切か?」→ はい/いいえ
  • 「温度は100度に達したか?」→ はい/いいえ
  • 「水分は十分蒸発したか?」→ はい/いいえ

エアコンの思考:

  • 「現在の室温は設定温度より高いか?」→ はい/いいえ
  • 「人がいるか?」→ はい/いいえ
  • 「冷房を強くするか?」→ はい/いいえ
  • 「電気代を節約するモードにするか?」→ はい/いいえ

 

次回予告:電気はなぜ「考える」力を持つのか?

今回は、コンピュータが「電気のON/OFFの超高速組み合わせ」で思考を模倣していることがわかりました。

でも、まだ謎が残っています:

  • なぜ電気のON/OFFで計算ができるのか?
  • 30億個のスイッチはどうやって協調動作しているのか?
  • 電気信号はどうやって「記憶」を持つのか?

次回は、これらの謎を「電気と計算の関係」から紐解いていきます。電気がなぜ「万能の言語」になったのか、その驚くべき理由をお楽しみに!

 

まとめ

コンピュータが「考える」仕組みの正体は:

  • 数十億個の電気スイッチの協調動作 – ON/OFFの組み合わせで全てを表現
  • 「はい・いいえ」判定の超高速実行 – 人間の思考を模倣する仕組み
  • 決められた手順の忠実な実行 – プログラムという「思考の設計図」に従って動作
  • 同時並行処理の圧倒的な力 – 人間には不可能な速度と精度

あなたがスマホをタップするその瞬間、30億個のスイッチが一斉に「考えて」「判断して」「実行している」。これは現代の奇跡と言えるでしょう!

そして、その「思考回路」を設計できるのが、プログラマーという職業です。次回からは、この魔法のような技術の根本原理を、さらに深く探求していきましょう!

 


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📝 この記事をお届けした Crystal Project チーム

コンテンツ制作:Claude
企画・ディレクション猪狩
品質管理・編集山下

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