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第3次AIブーム

 前回はAIの研究開発に関する記事を書き、その記事の中で現在は第3次AIブームが基礎となった新しいAIブームが始まっていると記述しました。
 その記事はこちらからご参照ください。
 今回の記事では、現在の爆発的なAIブームにつながる第3次AIブームについて詳しく書いていきます。また、今回の記事では現在は第4次AIブームではなく、第3次AIブームとしています。

第3次AIブームとは

 第3次AIブームは2000年代半ばに始まった、現在広く使われている生成AIなどに始まるこれまでで最も人工知能の発展が急速な時代を指します。
 第3次AIブームの特徴の1つとしては、「実用化が現実となったこと」です。先に挙げた生成AIや音声認識といった日常的に使われているところにAIが導入されています。
 また、2つ目の特徴としてディープラーニング(深層学習)の登場です。こちらは機械学習の手法の1つであり、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」を多層化し、AIが大量のデータから特徴やルールを自動的に学習する技術です。

 ディープラーニングの実用例・応用例としては、顔認識、機械翻訳、自動運転、広告をユーザーの好みに応じて最適化する等が挙げられます。これらのことから、現在皆さんが使っているものには第3次AIブームに関連するものが使われていることがわかります。

過去2回のAIブームにあった問題とは

 第3次AIブームに至るまでに2度のAIブームがありました。しかし、第3次AIブームに比べて第1次・第2次AIブームは一過性のもので終わりました。その理由は以下の3つあると思われます。
 (1)AIにエキスパートシステムを導入しようとしていた
 エキスパートシステムとは人間の専門家(エキスパート)の知識を、コンピュータにプログラムするという考え方です。しかし、これでは専門家の無意識下での考えまでコンピュータに落とし込むことはできませんでした。
 (2)コンピュータの性能の欠如
 現在のコンピュータに比べて、当時のコンピュータ性能は低かったです。(1)で挙げたように専門家の知識をそのままコンピュータにプログラムするという考え方の中では、大量の情報をコンピュータに蓄積する必要がありましたが、当時のコンピュータの記憶容量では不十分でした。
 (3)小規模な市場
 現在は世界中でも多くの人がスマートフォン・パソコンを持っているため、AIに振れやすい環境であり、市場も非常に大規模であるため、AIの研究開発に対する投資も非常に多くなっております。しかし、当時は研究者間でしかAIは認識されていなかったため、AIという技術を活かせるような市場が整っていませんでした。そのため、AIの研究開発に対する投資は細り、研究の進みが遅くなりました。

なぜ第3次AIブームは今も続いているのか

 2000年代半ばから現在まで続いている第3次AIブームはなぜこれまでのAIブームと異なり下火にならないのか、先ほど挙げた3つの理由が覆されております。
 第一にAIの考え方がエキスパートシステムから機械学習という考え方への移行です。「人間がコンピュータに教える」エキスパートシステムから「コンピュータが自分で学習する」機械学習という考え方の違いです。
 2つ目のコンピュータの性能という面では、インターネット回線などのネットワーク環境を介して接続し、処理能力の高いコンピュータを仮想的に構築可能になりました。それによって、理論的には無限に高性能化することが可能になりました。AIが判断をする際に必要となる膨大な情報「ビッグデータ」の記憶や処理が容易になりました。
 3つ目の市場に関しましては、現在私たちが使っているスマートフォンには顔認証機能、音声認識等の機能が備わっていることが多いです。これらは機械学習の成果によるものです。このように日常的に使っている機能にAIが使われていることから、AIは一般人にも広まっており、巨大なマーケットが創られたということがわかります。

今後第3次AIブームは終焉を迎えるのか?

 現在、生成AIが日常的に使われていたり、将棋や囲碁などにおいてAIが棋士の勉強道具になっていたり、プログラミングにおいてもAIがコーディングを行ったりと、第3次AIブームが始まった時とは比べ物にならないほど日常にAIが溶け込んでおり、AIブームの勢いは日に日に加速していると感じます。また、将来的には世の中の仕事の約50%はAIにとって代わられ、人間の仕事は消滅するという予想まであります。その場合、現在のようにAIの研究開発は進み、日常に溶け込むほど人々に受け入れられるのか、AIによって仕事を失った人々は素直にAIの進化を受け入れられるのかという思いはあります。事実、筆者自身が大学在学中にはレポートを書く際にはAIを使用禁止であったり、AIを使用した場合には罰則があったりしました。このように、AIは受け入れられる場面、逆に全く受け入れられない場面が存在します。これらのことからAIは進化を続けますが、人間側によるAIに対する規制も進んでいくかと筆者は考えます。

 以上のことから第3次AIブームにおける終焉は、これまでのように技術的な限界が見えたことによる終焉を迎えるとは考え難いです。現在、生成AI等は日常に溶け込んでいるように見えますが、目新しい技術として使っている人が大半だと思います。これらの人々が日常的にAIと意識せずに使うようになったら第3次AIブームの1つの転換点となるかと思います。つまり「一時的な流行」から「日常的な技術」へと成熟するプロセスが第3次AIブームの終焉になると筆者は考えます。

【まとめ】第3次AIブームのその先

 今回の記事では第3次AIブームの特徴と過去2回のブームとの違い、第3次AIブームのその後についてまとめました。

 今回の記事のポイントをまとめる下記のとおりです。

・顔認識、音声認識、自動翻訳等、皆さんが日常で使っているものは第3次AIブームの特徴の1つであるディープラーニングの活用例である。
・過去2回のブームと異なり、人間がAIに教えるではなく、AIがAI自身で学習する。コンピュータ性能の向上によりAIの研究開発も大きく進んだ。また日常的にAIが使われていることにより、市場が爆発的に広がったことによりAIの研究開発に対する投資が増え、研究開発が進んだ。
・第3次AIブームが終わりを迎えるとしたら、「一時的な流行」から「日常的な技術」へのプロセスの成熟である。

 今回第3次AIブームについてまとめてみましたが、第3次AIブームはとても馴染みがあるもので、これまでAIというものについて実感がわいていなかった方たちも、実際に使用することでほんのりと実感している人も多いのではないだろうかと感じます。
 今、中国・アメリカでは特定条件下での自動運転の実用化が始まっています。また、小さい子でもスマートフォンを持つ時代になったことで誰でもAIを使えます。自動運転による事故、小さい子によるAIを使って何かしらの問題を起こしてしまうなど責任の所在が難しい場合等の法による規制があるかと思われます。技術の進歩が進むたびに、それを扱う人間も正しい知識をつけなければならないというのは何事にも言えることなのだと筆者は感じました。

参考文献

 「第三次人工知能ブームを起こした3つの波」

https://business.ntt-east.co.jp/column/bizdrive/third-ai-boom-waves.html

 川久保 彬

スキル:Sales/PR

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